新しく始まった住宅の設計に先立って「フィールドワーク」を始めています。
久しぶりに宇都宮市内でのお仕事です。
まずは街歩きから。自分の足で歩いて、自分の身体で感じることが一番です。

田川沿いを駅に向かって歩きながら敷地に向かいました。
ちなみに田川は私の散歩コースなのですが、昨年からずっと工事していたのがやっと終わり、川岸を歩けるようになりました。
田川から大通りに向かう途中、 三峰山神社という小さな神社を発見しました。
周辺の建物に埋もれるようにひっそりと控えめな佇まいが印象的です。
たまに車で通る道なのに存在に全く気付いていなかったので、今回歩いて改めて足で歩くことの大切さを再認識しました。

拝殿のなかには樋爪氏のお墓が二つあります。
文治5年(1189)源の頼朝が二荒山神社に献納したものとのことですごい歴史あるものでした。
不謹慎かもですが造形的にもなんだかかわいらしくていいですね。
整いすぎないデザインは人との距離を近づけてくれる気がします。

敷地の周辺にはお寺がいくつかありました。
こちらは清巌寺。屋根のそり具合が美しい本堂。
こういった、そりとか、むくり(膨らませること)といった技術は、今の西欧建築からつづく数学的な美しさではなく、感覚的な美しさのものだと思います。
張り出した庇は、垂木を三段にして持ち出してました。
ありきたりの部材を工夫して組み合わせることで、優雅な曲線と伸びやかさを生みだしています。
ものが少ないからこそ、智慧や技術が発展したのかもしれませんね。
ものの多い豊かな現代、技術もさることながら、こういった美的感覚もどんどんと失われているように感じます。

市街地に入ると、細い路地に小住宅が立ち並ぶ場所がありました。
東京などでもそうですが、大通りから少し入るだけでこういった場所が残っているのも日本の都市の面白いところです。

唐突に現れる立体駐車場の入り口。
その隣にはレトロなうなぎ屋さん。今は県庁近くに移転されたようですが、有名なお店だそうです。
さて、観光ブログみたいになってしまいましたが、このあとちゃんと敷地に向かい色々と調査してきました。
プライバシーの観点から写真の掲載はできませんが、お寺のとなりにある面白い敷地でした。
これから気候特性を調べたり、歴史を調べたりとやることはまだまだあります。
フィールドワークによってその場所を知ることは、単に知識を増やすということではなく、その場所に建てることの意味を深く考えさせられます。
それは設計者にとっては足かせのようなものでもあります。
しかし、何でも許される今の時代だからこそ、自分たちがどういった文脈のなかに建築をつくろうとしているのかをしっかりと意識する必要があると思うのです。
はやく設計に入りたくてそわそわしている気持ちを鎮めつつ、フィールドワークをつづけています。
書いたひと
宇賀神 亮