栃木県の益子町に「starnet(スターネット)」というお店がある。
益子の作家さんの作品やオーガニックなものを扱い、カフェやギャラリーも併設されている。私が紹介するのもおこがましいほど、名の知れたお店だ。
そんなstarnetの経営者が最近変わったと聞いた。
日本仕事百貨の記事によると、及川さんという方のようだ。「anan」の元編集長で、webマガジン「コロカル」を立ち上げたとある。
この方になってから、魅力的なイベントが増えたそうだ。特にギャラリーでは著名なアーティストの個展も開催されている。
私も馴染みのお店「時余利」の店主に勧められて、少し前にギャラリーに伺った。
その時は、彫刻家の生井亮司さんと写真家の中村裕紀さんの個展が行われていた。
どちらの作品も素晴らしかったが、古民家を移築したというギャラリーの空間もまたよかった。
ホワイトキューブの美術館ではなく、こういう場所でこそ見られる作品の表情が心に深く残っている。



少し話が逸れるが、北海道の美唄市に「アルテピアッツァ美唄」という、廃校になった小学校を丸ごと美術館にした場所がある。
美唄出身の世界的な彫刻家、安田侃さんの作品(きっとどこかで見たことがあると思います)が、木造の校舎に転がっていた。
転がっていたという表現がいいのかわからないが、空間との親和性が高すぎて、光と木と石がずっと昔からそこに在るような、そんな感覚だった。
アートという主題と、空間という器、双方が歩み寄ったところに本当の美しさがあるような気がしている。
そんなことを思い出しながら、ギャラリーを巡っていた。
建築は空間をつくることまでしかできないけれど、そこにある人やものによって豊かさは変わる。
いい人に巡り合い、いいものに出会って、いい建築になってほしいなと思う。
そんな気持ちを忘れずに建築やものごとに関わっていきたい。
ギャラリーはstarnetのお店から坂を登った駐車場の先に「starnet ZONE」と「starnet recode」の2棟ある。
企画展があるとき(しか開いてない)にぜひ訪ねてみてほしい。
書いたひと
宇賀神 亮