スイスの建築家、ピーター・ズントーの作品集『Peter Zumthor 1985–2013: Buildings and Projects』のご紹介。
ズントーはスイスの建築家で、建築界のノーベル賞と称される「プリツカー賞」を2009年に受賞している著名な建築家です。
ずっと作品集が品切れになっていたのですが、昨年末に再販されてやっと手にすることができました!
作品集は数年毎にまとめられており、全5冊になっています。
最初期のアトリエ・ズントーから始まって、聖ベネディクト教会、テルメヴァルス、ブレゲンツ美術館などの有名どころは勿論のこと、実現しなかったプロジェクトのスケッチや模型なども掲載されていて、盛りだくさんの内容でした。
個人的には1~2冊目の初期の頃が好きな作品が多かったです。
ズントーの建築は、研ぎ澄まされてキリっとしていながらも落ち着いていて、どこか懐かしさもあり、遠い記憶に誘うような奥行があります。
その場所にしっかりと根付き、やさしく人々を迎え入れ、静かな呼吸が聴こえてくるようです。
ズントーに限らず、スイスの建築家は素材の扱いがとても上手です。
むかし、ヘルツォーク&ド・ムーロン(こちらもスイスの建築家ユニット)の元で働いていた方の話を聞いた際に、「困ったときは、隣から借りてこい」ということをよく言われていたそうです。
つまり、その場所にこそヒントがあるのだと。
身近にある素材を使うことは、本来の建築のつくり方としてとても自然なことだと思います。
現代の建築は、産業化のなかで経済性や耐久性を追い求めていった結果、そんな当たり前のことを忘れてしまったのかもしれませんね。
作品集は、もう初版から10年以上経つので、ぜひ続き(2013-)が出ることを期待したいところです!
―おまけ―
学生の頃、ズントー建築を見に行った際の旅の記録がありました。
早朝にバーゼルから出発して、テルメヴァルスと聖ベネディクト教会を一日で回るという、とんでもスケジュールですね。
体力があったんだなぁ。笑
書いたひと

宇賀神 亮