
アルヴァ・アアルト美術館が発行している小冊子がある。
建築ごとに1冊にまとめられていて、写真、図面、テキストで構成された簡易なものだ。
そのうち「アアルト自邸」の冊子の1ページ目に、こんな記述がある。
“建築における唯一の正しい目標は、自然に建てるということだ。やり過ぎてはいけない。正当な理由がない限り何もすべきではない。余分なものはすべて時間と共に醜くなる”
アアルト、27歳の時の言葉である。
初めてこの言葉に触れたとき、心が洗われるようだった。
付加価値的にデザインを求められることも多い、今日この頃。
意匠と化粧が混同されているように思う。
いつの間にか余計なところまでやり過ぎていることもある。
そんな時、この言葉に立ち戻ることにしている。
建築には素直でありたいと思う。
書いたひと
宇賀神 亮