解体を設計する? -建築士の仕事帖-

 

この5月から栃木市で、役目を終えた建物の解体設計をすることになりました。

解体するのに、設計するって、、、「?」となりますよね。

私も初めて聞いたときは同じ気持ちでした。

 

建築はさまざまな部材からできています。

燃やすもの、埋めるもの、リサイクルするものが混然一体となっています。

また、アスベストなどの有害物質を含んでいる場合もあるため、含有の有無によって解体の仕方が変わってきます。

それらを整理して、どういう手順や手法で解体するかを設計するのです。

 

「それは設計者の仕事なの?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、解体することも造ることと同じくらい真面目に考えないといけない時代なのです。

 

学生のころ、東京R不動産などを手掛ける、Open-Aの馬場正尊さんの講演会で「終わりのデザイン」という言葉を聴いたことがありました。

「人口減少によって人が住まなくなる場所が増え、広がりすぎたインフラをどう畳んでいくのか。本気で考えなければならない時代が来る」と話されていて、とても感心したのを覚えています。

まさに今そんな時代に入っていると思います。

 

建築設計事務所というと、華やかに設計やデザインの仕事をしていると思われがちなのですが、実は設計以外の仕事もたくさんあります。

 

建設費を算出する積算業務、建物や設備などの異常がないかを調査する定期点検や、耐震性を調査する耐震診断など、多岐に渡ります。

設計に比べると、地味で事務的な仕事ではありますが、どれも大切な仕事です。

また調査業務などは、建物が経年によってどんなところに痛みが出て、どういう設計だと問題が起きるのかなど、経験として得られ、それを新築の設計の際に活かすこともできます。

 

本当に建築は先が見えないくらい、やってもやっても学ぶことが多いです。

だからこそ続ける面白さがあります。

華やかな部分だけではない、建築の奥深さも含めて、これからも少しずつお伝えしていければと思います。

書いたひと

宇賀神 亮