先月、紀尾井清堂で開催された「建築家・内藤廣~なんでも手帳と思考のスケッチ in 紀尾井清堂」に行ってきました!
紀尾井清堂は内藤廣さん設計の用途未定の建築。SNSでもよく見かけるのでご存知の方も多いと思います。
普段は内部に入れないようですが、今回の展覧会期間に特別公開するということで会期ぎりぎりに滑り込みで行ってきました。
入口付近には行列ができるほどの盛況ぶりでした。
ガラスに覆われたコンクリートの箱という入れ子の構成。ガラスは完全に閉じていないので、風や空気が流れる半屋外空間になっていました。
有名な屋外階段が飛び出している紀尾井通り側の写真を撮り忘れました、、、
1階は半地下の展示空間になっていました。
壁と床のタイルは石州瓦の焼成窯で棚板として使われていたものだそう。いい味出してますね。
以前は東日本大震災で残った「奇跡の一本松の根」が展示されていたそうですが、今回は「18800 pieces 2012.6.13」という、被災した人の数のガラスタイルを敷き詰めたインスタレーション作品が展示されていました。
3.11を記録として終わらせず記憶としてつないでいく。そんな想いのこもった素晴らしい作品ではないかと思います。
ただ、無二の命を定量化することには危うさを伴うこともあるでしょう。
亡くなられた一人ひとりの方には記録に残る事のない物語がある。それを「1」と置き換えることで失われてしまわないように想いを馳せることが大切ではないかと思います。
北野武さんが震災後に語っていた「2万人が亡くなった1つの事件」ではなく、「1人が亡くなった2万の事件」という言葉を思い出しました。
清堂内部は4層吹抜の光に満ちた空間。
下には内藤さんの言葉をスタッフが選んだ「言葉の曼荼羅」が展示されています。
吹抜に面した階段で一層ずつ上っていきます。
各フロアの外周の壁に主要作品の図面、吹抜側に内藤さんの手帳が展示されていました。
最近は、こういった手帳やスケッチブックなどの展示をよく見ます。メモやスケッチはその人の思考の過程やパーソナリティが垣間見えて面白いですね。
内藤さんは文字もスケッチも丁寧で、その他にも展覧会のチラシ、本の縮小コピーなど、本当になんでもマメに綴じてあり几帳面な性格が窺えます。
40年分の手帳を年代順に見て行くと、若いうちはご苦労も多く嘆きのような言葉もありましたが、貴重な出会いを大切にし、まっすぐに仕事に取組む姿勢が建築家として素晴らしい活躍につながっているのだと改めて感じるものがありました。
独立したての私には励みにもなり、羨ましくもある半生だと思い入りました。
ちなみに私もずっとA5のノートを持ち歩いてスケッチしたり色々思いついたことを描いてます。下手なうえに乱雑なので記録としてはあまり意味をなさないですが、思考と現実を行き来できる手書きノートは必携品です。
空に穿たれた九つの孔。
照明を落として、この光だけの空間に身を置いてみたかったなぁ。
書いたひと

宇賀神 亮