猛烈な日差しと多雨を避ける”大きな庇”を持つ沖縄の住宅

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石垣の家

沖縄本島から西に約400Km離れた石垣島に建つ住宅です。
猛烈な日差しと多雨、そして台風の通り道といった厳しい気象条件下での設計でした。

 

本州とは全く異なる場所での設計を始めるにあたり、地元の建築家に話を聞いたり古民家博物館を訪れて地域の特性を調べました。
古民家のアマハジ(雨端)と呼ばれる縁側空間から着想を得て、コンクリートの深い庇を張り出した住宅を計画しました。
庇は日差しを遮り雨を避ける単純な構造ですが、この土地では非常に有効なものでした。
庇下はリビングの延長として約15畳分の広さの半屋外空間になり、晴れの日も雨の日も子どもたちが遊んだりBBQをしたりと活躍してくれています。

 

湿気が多いためカビ対策、特に風を扱うこともまた重要でした。
パイカジ(南風)と呼ばれる卓越風が家中を流れていくよう、風の通り道を想定して窓の位置や動線を検討しました。

 

庇による日陰と風の通り道をつくったことで、自然と上手く付き合いながら快適に過ごせる住まいとなりました。

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コンクリートの片持ち庇は最大で約3.5m張り出す。庇下はテラスとして利用
天井高の変化で広々とした空間のリビング
ダイニングテーブルは地場産の「琉球松」を使って製作
各室は引き戸で全て開放できる。壁塗材にはサンゴ入りの漆喰を使用。湿気の多い沖縄でも風通しの良い住まいとなる
洗面脱衣所などの水廻りも天井を高くして湿気が籠らないよう、高窓から換気
南面外観
雨の多い沖縄では庇下のテラスが活躍する
海が近く塩害対策もあり、車庫と玄関にも庇を回している
主要用途:一戸建て住宅
建設場所:沖縄県石垣市
延床面積:135.24㎡(40坪)
構造形式:鉄筋コンクリート造 / 平屋
構造設計:株式会社 川田知典構造設計
工事費用:約3,600万円
竣工時期:2023年6月
写真撮影:八代写真事務所